失敗事例から学ぶ基幹システム構築講座

(企画4)
「自社の管理レベルのステップアップを目指すシステム企画」
システムを改善する背景には必ず業務プロセスの改善が伴います。より正しく、よりスピーディに業務を処理するためにはシステムも必須ですが、根幹にあるのは業務品質に対する目標の具体化です。この章では業務レベルの品質を上げるためにどのような方法があるか、解説していきます。
(2010/6/17)
筆者:(IT コンサルタント)石田 富士夫
改善のポイントと目標の設定
前項の現状を踏まえ、A社の具体的改善のポイントを上述の管理レベルに照らして考えると以下のようになります。
[改善のポイント]
- (1)営業の受注手続きは担当者が行い管理者のチェックは事後処理となっている点、また発注予定の確認が製造に委ねられている点が改善ポイントです。ここで必要なのは、受注と在庫引当時に、受注内容が正しく社内に展開されたかどうかと、問題なく納品できるかどうかを管理者が確認・承認するプロセスを加えることです。この時点で問題を検出し組織的にアクションを起こすことで顧客サービスレベルの向上につなげます。
- (2)生産管理では、お客様の発注予定に対して先行で生産に着手し、納期に間に合わす運用を行っていますが、受注変更に伴う生産計画変更の業務手続の規定が出来ていません。改善方法としては、受注・出荷・在庫について営業・工場間で調整する基準と手続きを標準化し全体最適化を図るプロセスを加え、ミスの防止と在庫の最小化を目指すことを推進します。
- (3)営業システムとの受注変更はシステム的には生産管理システムと連携しておらず、連絡ミスによる欠品や余剰在庫が発生しています。EXCELによる個別でばらばらな生産管理から販売・生産が連動した基幹システムに切替えることで、情報の連携・共有を図り変更に強い柔軟なシステムに強化します。
- (4)以上の改善ポイントを業務基準書に盛り込み、社員に教育し、業務改善を図るとともに、業務をサポートするツールとして、社内システムを販売・生産が連携した基幹システムに更新します。
このような改善を進めることで、受注・出荷業務の管理レベルを1年後に3.5とし、中期的には4レベルとするように目標設定をしました。
管理レベルをステップアップする業務改善
この例のように、各業務現場では、現在の業務方法が最良とまで言えなくとも、現在の環境条件で最善の方法で行っているという自負を誰しもが持っています。従って相当の上昇志向や大きな問題が無い限り、改善を図ろうとする意欲は生まれにくい環境にあります。
今回説明した管理レベルの概念を使ってレベルを評価することで、客観的な視点から業務を冷静に見直し・評価することができます。また、次のレベルに向かって、より具体的に目標設定することも可能となります。
システムを改善する計画の背景には必ず業務プロセスの改善が伴います。より正しく、よりスピーディに業務を処理するためには、システム的なツールは必須ですが、それよりも根幹にある、「業務品質をどのようなレベルに持っていくという目標が具体化されていること」が最も重要です。
システムの企画を行う際に是非「管理レベルを評価しステップアップする」という側面からも検討し、より良いシステム企画を立て、改善を進めていただきたいと考えています。
(次回につづく)
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著者プロフィール

著者 石田 富士夫(ITコンサルタント)
中小企業向けビジネスソフト全般に対する情報化企画、要件定義、ベンダー選定、設計、製造、移行、運用に関する相談・指導に従事し、システムの構築・サポート経験は100社を超える。
主な得意分野は、生産管理、販売管理、在庫管理、購買管理、原価管理、財務管理など、ビジネスソフトの分野。
※ コラムは筆者の個人的見解であり、日立システムズの公式見解を示すものではありません。
※ 内容は予告なしに変更される可能性がありますので、あらかじめご了承ください。








